クリスマス人形のねがい

 ルーマー・ゴッデンといえば、人形の家や、ねずみ女房、ディダコイなど、どれも深い味わいのある作品で知られていますが、今回は、ちょっと早めのクリスマスの本をお探しの方にぜひお奨めしたい1冊『クリスマス人形のねがい』をご紹介します。

 「みなさんは、運命とか奇跡とかを信じられますか?」などと申し上げると、誤解をされそうですが、62年も生きてくると、「ああ、あれは運命だったのだ」とか「やっぱり奇跡は起きるのだ」などと感じたことが何度かあります。それは、決まって、なにか大きな困難を乗り越えた時に感じたような気がします。

 クリスマス人形のホーリーが、みなしごの女の子アイビーのものになるまでにもいろいろな困難がありました。途中までは、まったく絶望的にみえるこの結びつきがかなえられるまでには、一見、偶然ともいえる出来事がいくつも重なりあっているのですが、読み終わった時、これは偶然ではなく運命だったのだ、やはり奇跡は起きるのだ、と心から納得している自分がいるのです。

この物語の、もう一つのテーマは、ホーリーとアイビーの、強いあこがれと願いなのでしょう。そのあこがれや願いが、いくつもの困難を乗り越えさせ偶然を必然に変えていったのです。

そして、ふと、果たして今「強いあこがれや願い」をもって生きているだろうか?と考えてしまいます。

女の子の名前アイビー(ツタ)も人形のホーリー(ヒイラギ)もクリスマスには、なくてはならない植物です。とくにクリスマスカラーの、赤と緑の洋服を着たホーリー、惜しくも2001年になくなった、バーバラ・クーニーの挿絵が、この物語を、すばらしい大型絵本にしたてあげています。少々値段が張りますが、一生の宝物になることうけあいの1冊です。


ルーマー・ゴッデン文 バーバラ・クーニー絵 掛川恭子訳
岩波書店 ¥2100

(執筆 小宮 楠緒 2006年11月)