待ちに待った絵本の再版 「マドレーヌといたずらっこ」
 今年の二月、長い間品切れになっていた「マドレーヌといたずらっこ」が再版されました。大人になると、「これは面白い!」と思う絵本に出会うことは、なかなかありません。今回、この絵本を読みなおしてみて、「うん、面白い!」と思わず唸ってしまいました。

 「げんきなマドレーヌ」や「マドレーヌといぬ」では主人公のマドレーヌの、きっぱりとものおじしない性格がよく描かれていてとても素敵なのですが、この「マドレーヌといたずらっこ」では、隣に引っ越してきた大使の息子、いたずらっこのペピート坊やとマドレーヌの先生ミス・クラベルがとても魅力的で、実在感のある人物として描かれています。

●あきらめないミス・クラベル
 表紙からもう、ペピートのいたずらは始まっていて、最初のページをめくると、そこには、大使館のライオンの石像に、自分のかぶっていた帽子をかぶせ、洋服を脱ぎ捨てて、バーベルを持ち上げているペピート坊やがいます。そばにいるマドレーヌに見せたくてのことなのですが、マドレーヌは花など摘んで知らん顔。その後も、朝の体操をしているマドレーヌたちにピシッと石を飛ばすやら、自転車であぶない芸当をしてみせるやら。

 「元気がありあまっているんですよ」と、ミス・クラベルは、ペピート坊やに大工道具をプレゼントします。首尾よくギーギートントン始めたと思ったら、作り上げたのはニワトリのギロチン台。マドレーヌたちもくやしくて泣き出してしまいます。しかし、ことあるごとに裏切られても、ミス・クラベルはあきらめません。

●魅力的ないたずらっこ
 ある日、ペピート坊やは袋をかついでどこへやら、その後ろから野良犬がぞろぞろついていきます。ミス・クラベルは、今度こそはやさしい気持ちになって、野良犬にえさをやるつもりなのだ!と期待するのですが、ふくろの中からおいだしたのはおにごっこをさせるための一ぴきの猫、逃げ場のない猫はペピートの頭の上へ。いっせいに襲いかかる野良犬に、「たすけて!」と叫ぶあわれなペピートを、ミス・クラベルと元気もののマドレーヌが無事助け出します。それからのペピートの変貌ぶりは読んでのお楽しみ。

 どこにでもいそうなペピート坊は、立派な闘牛士の格好までして、みんなの気を引こうとするのですが、だれにも見向かれず、ちょっと意気消沈するようすに、笑いながら思わず鼻の奥がジンとする場面もあります。ミス・クラベルもどうやらこのいたずらっこの魅力にまいっているふしがあります。つまり、そのことは、作者ルドウィッヒ・ベーメルマンスの「ユーモアを解し大きな心で人間を見る眼」なのでしょう。

 子どものころ、「山のクリスマス」という大好きな絵本がありました。15年ほど前、この絵本に再会し思わず叫び声をあげました。そして、その作者が、偶然同じベーメルマンスだったことを知りました。「そうだったのか!」とひどく嬉しかったことを思い出します。

(執筆 小宮楠緒 2000年4月)