乗り物に魅せられる子どもたち ちいさいしょうぼうじどうしゃ
ちいさいしょうぼうじどうしゃ
ロイス・レンスキー/作
わたなべしげお/訳
福音館書店 ¥800
ISBN4-8340-0246-2
絵本
読んであげるなら
3才くらいから
 子どもたち、特に男の子は、乗り物の登場する絵本がとても好きです。わが家の息子たちもご多分にもれず、「はたらきもののじょせつしゃけいてぃー」や「マイク・マリガンとスチーム・ショベル」などが大好きでした。「ちいさいおうち」でおなじみのバージニア・リー・バートンの作品です。読んでもらった後も、一人でページをめくり、「ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ」と、けいてぃーと一緒に雪の道をたどっていた様子が目に浮かびます。
■ 人間にはないエネルギー ■
 今回取り上げた、ロイス・レンスキーの絵本は、スモールさんという主人公が、色々な乗り物を操縦するお話です。いつの時代にも子どもたちは、消防自動車や機関車や飛行機など、人間にはないエネルギーを持ったものへのあこがれがあって、スモールさんと一緒に、それを自由に操る楽しさを満喫するようです。

 2色刷りで小型のこの絵本は、とても地味で目立ちません。お話の運びは、子どもに媚びたところがなく、とつとつとしてます。けれども、子どもの本にありがちな手抜きがないのです。例えば「ちいさいしょうぼうじどうしゃ」では、消防士のスモールさんの一日がとても丁寧に描かれています。火事の場面で逃げ遅れた女の子が抱いている猫も、スモールさんはちゃんと腕に抱えて、大事に助け出してくれます。

 スモールさんの飼い犬ティンカーは、けなげにも仕事が終わるまで、消防自動車で待っています。そういえば、表紙のスモールさんの出動の時からちゃんとティンカーは助手席にいるではありませんか!!
■ スモールさんに夢中 ■
 この絵本が翻訳出版されたのは、今から約30年前です。消防自動車そのものは、すっかり様変わりしているのですが、ロイス・レンスキーの丸みを帯びた、何とも温かみのある絵とともに、スモールさんは今でも子どもたちを魅了しつづけています。その証拠に、うっかりしようものなら、いつの間にか在庫を切らしてしまいそうになる絵本の一つです。

 先日、高校時代同じクラスだった、憎まれ口の上手い友達が、三歳の孫を連れてやってきました。蒸気機関車「あそBOY」を見た帰りで、機関車に興味があるというので、同じレンスキーの「ちいさいきかんしゃ」をプレゼントしました。今では夢中になり「おい! スモールさんだの、ショーティーさん(この絵本に登場する機関助士)だの言うて、毎晩読まされよっぞ!」と報告がありました。

 「たかが絵本」と、どこか冷めた目で見ていたふしがあったのですが、はやり歌の「孫」ではないけれど、目に入れても痛くない初孫の言うことは、じいさんとして無条件に認めざるを得ないはず。「そうれ、ごらん!」と一人ほくそえんでいるところです。
執筆 小宮楠緒